両親のなり染め

若い頃の私の両親は、決して仲の良い夫婦ではありませんでした。
高度成長期で(←う、歳が!ええ、中3トリオと同世代です。)仕事第一の父に対して、
母は愚痴ばかりこぼしていました。「お母さんみたいな結婚は絶対にしない!」と
心に刻み、理想の男性を追い求めていたら、いつのまにか独身の40歳になっていました。


ところが、父がすい臓がんで倒れて3ヶ月たらずの闘病を経て亡くなった嵐の晩。
母は臨終の父に向かって「お父さん、ありがとう!生まれ変わってもまた一緒になろうね!」と
叫んでいました。え、何?お母さん、お父さんの事、愛してたの?
錯乱状態だったので、本人は記憶がないと言っていますが。


今では母は「お父さんが大好き」と言っています。いつどこへ行く時でも、おとうさんが
一緒にいて守ってくれている、と平気でのろけやがります。


おいおい。だったら、生きているうちに、「結婚は女を不幸にする」という刷り込みを
娘にする代わりに「父ちゃんのこと好きやで〜結婚はええぞ〜」ってメッセージ発しといてよ。


父が亡くなった後に今のパートナーに出会いました。父の生前だったら、欠点や短所に目が行き、
結婚まで至らなかったかもしれません。私か彼が死んで、一緒に笑いあえなくなる日がいつかは来る。
それなら、生きているうちに、なるべく同じ時間を過ごして一緒に笑いあっていたい、と思ったのが、
一緒に暮らそうと思った理由です。別に、戸籍はどっちでもよかったのですが、母は喜ぶので、
親孝行で婚姻届も出しました。