名古屋地下鉄「二列立ち」の暴力

この10年〜15年ぐらい前から、トイレや切符売り場の「フォーク並び」と時を同じくして、ようやく名古屋でも「駅のエスカレータ片側立ち」のマナーが浸透し、都会らしくなってきた、と思っていたら、なぜか急に「二列立ち前塞ぎ」の反動勢力が復活し、あろうことか、中日新聞の投書欄に、それを讃美する投書が連日掲載されるので、さすがの私も腸が煮えくりかえって、中日新聞に文句が言いたくて、以下の文を書いたのだけれど、「投書欄は370字以内」と、あとで知って、がっかり。長すぎた。くやしいから、ここに載せちゃえ。

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エスカレータの無かった時代はエスカレータの乗り方のマナーは不要でしたが、公共の場にエスカレータが登場してからは、TPOに応じて、利用する市民の間で自然に合意ができてきました。


デパートや「愛知万博」のような娯楽、行楽施設で、休日の家族連れやカップルが、仲良く並んで、のんびりゆっくり利用するのを咎めるのは野暮です。一方で、空港の「動く歩道」では、急ぐ必要のある人の為に片側を開けるのが国際的なマナーです。おしゃべりに夢中で横に広がり後ろを塞げば、他者への思いやりを欠くとして、日本人の民度の低さが顰蹙を買うでしょう。


さて、地下鉄のエスカレータは「愛知万博」か「中部国際空港」か。言うまでもなく、都市の公共交通機関では、早く行きたい人が早く、ゆっくり行きたい人がゆっくり行ける権利を互いに尊重しあうのが当然のマナーであり、都市住民相互の思いやりです。


最近中日新聞には「二列立ち」を讃美する投書が多数掲載されますが、投稿者は、主に高齢者か主婦の方々です。おそらく、人間らしい、ゆったりとした生活時間を送っておられるのでしょう。しかし現役の勤労者は、好むと好まざるとに関わらず、急がなければならない時もあることを想像してみて下さい。


私も普段は左側に立っていますが、乗り換えの時間が迫っている時は、右側を駆けたくもなります。たとえば、鶴舞線の豊田行きは、一本乗り過ごすと15分待たなくてはなりません。この15分が勤労者には大きな差になることがあるのです。どうか、エスカレータで急ぐ自由を認めて下さい。


名古屋市交通局に質問です。本来エスカレータの乗り方はお互いの思いやりから生まれる「マナー」の範疇だと思うのですが、いつのまに、どのような経緯で「二列立ち」が「ルール」になったのでしょうか。また、御器所駅や今池駅には「歩くな」の張り紙がありますが、名古屋駅にないのはなぜでしょうか。他地区からのビジネス客の目を配慮しての事でしょうか。


名古屋市交通局にお願いです。もし「ルール」にするのであれば、利用者大多数の声が反映された納得のいくものを民主的に決定し直して下さい。一度、アンケートをとってみてはいかがでしょうか。また「女性専用車」のように、時間帯によってルールの運用を変えるということも検討してみて下さい。通勤ラッシュ時に、ほとんど全員が両側を歩いて「ルール違反」をしているのなら、その「ルール」自体を変えるほうが自然ではないでしょうか。


お互いを思いやる民度の高い国際都市名古屋の建設の為に、皆で考えていきましょう。