アイブラウ・ペンシル

今朝もいつものように、ホームで「ハーフサンドセット450円也」を買って、名古屋発の新幹線こだま号に乗って、前の座席のテーブルを倒し、まずは腹ごしらえ。そして予習をして、豊橋を過ぎたので、さあ、メイクアップだ、とカバンの中に手を入れたら、あれ?無い。お化粧セット一式がカバンの中に入っていない!!!ああ、あわてていて家に忘れてきた!やばい!


すっぴんの50ババアが浜松に降り立つ。午前9時前なので、マツモトキヨシも開いてない。名古屋ならいくらでもあるコンビニも見あたらない。


講師室に行って手洗い場の鏡を覗くと、そこにはゾンビ顔が一つ。普段から化粧はあまり濃くないので、本人が気にするほど周りは気にならないかもしれないが、それでもやはり、すっぴんはすっぴん。


眉毛はぼんやりしてるし目は腫れぼったい。何より唇の色がどよ〜ん。これで教壇に立って「先生病気?」と、大切な時期の受験生に余計な心配をかけてはいけない。せめてポイントメイクだけはしなければ。生徒思いの私は、何とかならないものかと知恵を絞る。あ!ひらめいた。アレを使おう。


私は、筆箱の中から鉛筆をとりだし、眉毛にあてた。HBの芯はちょっとひっかかったがうまいことカーブが描けた。これこそ本物のアイブラウ・ペンシル。


次は口紅だ。採点用の赤ペンは先が細すぎる。あ、これはどうだ。蛍光ピンクのラインマーカー。手洗い場にハンドクリームがあったので、それをまず下地として塗る。そのうえにラインマーカーをスティック口紅のように色をのせる。いけるじゃん!ちょっとブルーがかった蛍光ピンクがくっきり。いつもよりはっきりしてるかも。


そしらぬ顔して授業をやる。今日が2学期最後の授業なので、最後にちょっとエールめいた話しをする。
よいか諸君。人間の真価は危機に直面した時に問われる。本番で試験問題の傾向が突然変わって、対策した事が使えなくなったとしてもあわてちゃだめよ。とっさに工夫してなんとか切り抜けるのよ。ほら私の眉毛を見て。これなんか、今朝ね・・・・


ポカンとキョトンとクスクス。
感動的に最終授業を終わろうとしたのに、笑われて終わってしまった。