「風のガーデン」来週最終回

フジテレビの「風のガーデン」がいよいよ来週最終回です。

テレビドラマなんか興味ない、っていう大人の鑑賞にも堪える素晴らしい作品です。「チャングムの誓い」だけは観てた、という経験がある方なら、男性の方でも十分に楽しめると思います。というか、これは男性に向けてつくられた珍しいドラマです。父と息子、仕事と家族、自己実現、友人、愛人、地域医療、終末医療、テーマはいくらでも読み取れます。

私は、そもそも緒形拳さんの遺作だからという理由だけで、観始めたのですが、中井貴一さんの演技の良さもこのドラマの魅力の一つです。主な舞台が病院であったドラマの前半では、人間の情感を拒絶するシャッターを下さなければならない何か過去があったんだろうなぁと想像させる、有能だけれどどこか冷めてる麻酔医が、すごくリアルに演じられていました。ドラマの後半は、膵臓ガンが進行して、病院を辞め故郷の富良野へ帰り父や息子と再会する中での感情の波がすばらしく描き出されています。


先週や今週は、もう私、涙ボロボロ大泣きですよ。
緒形拳演じる父親が、勘当した息子中井貴一膵臓ガンだと知ってからの展開は、もう、テレビを観ながら二重三重にいろんな事を思ったりして。

緒形拳が、孫娘の黒木メイサに聞きます。「知ってることにしますか、知らない事にしますか」

実はこの撮影中、緒形拳は、自分が肝臓ガンである事を周りに隠してこの最後の仕事をしていたのですよね。それを今、テレビを観ている私たちは知っている。緒形さんは、一体どういう思いを込めてこのセリフを言ったのだろう、とか想像すると、余計にドラマに深みを見いだしてしまうのですよ。

おまけに、うちの父も膵臓ガンで亡くなっていて、母は告知しないことを選択したので、我々子供や親戚も数ヶ月ずーっと知らない振りを続けた経験があって、その時の事もどうしても思い出されます。

「死んだ」といってある父親が実は生きていて、二度目に今度こそ本当に死ぬところを見せたくない、と、緒形拳自閉症である孫息子を遠くへやろうとします。孫娘には偽りの結婚式を挙げさせようとします。この「ロミオとジュリエット」の神父様のようなはかりごとが、吉と出るか凶と出るか。すべては、最終回にわかります。

DVDになったらまたしっかりみてみたい作品です。
倉本聰は、う〜む、やっぱりすごい作家ですね。
来週の木曜日の最終回。ほんとに楽しみです。