犬山方式の「学び合い」を広めよう

veatrice2008-12-21

12月19日(金)のNHKスペシャ
地域発!どうする日本「変わる義務教育 学ぶ力をどう伸ばす」
が、おもしろかった。

番組内容は、NHKのHPによると以下のようです。
引用
全国のNHKのネットワークを生かし、日本が抱える課題を生放送でお伝えする「地域発!どうする日本」。今回のテーマは「義務教育」。“ゆとり教育”から“学力重視”へと移行する中、全国の小中学校はどう変わろうとしているのか? 学力テストでトップの秋田県の秘密。家庭学習を進める試み。公立離れが進む中、人気を集める小中一貫校。勉強が大好きになる図書室など、各地の事例から子どもの学ぶ力をどう伸ばすのかを考える。
引用終わり

司会は「英語でしゃべらナイト」で、おちゃめなところを披露した松本和也さんが担当し、スタジオに3人のNHK出演経験豊富な大学教師陣。今をときめく茂木健一郎さん、お久しぶりの金子郁容さん(あいかわらずのダンディぶりです)そしてブログが炎上してもめげないお母さん東大准教授本田由紀さん。上野千鶴子がご隠居さま相手に忙しい今、君しかいない。がんばれ由紀ちゃん。そして何とびっくり!中継で出演の予備校講師牧野剛さん。唯一の60代参加です。

しかもLIVE。生放送だよ。NHK太っ腹。よく牧野剛を生放送に使ったね。牧野のオヤジがまた何か問題発言するんじゃないかと、ハラハラドキドキ。サスペンス気分も味わえるなんて、おいしい番組。

しかし、意外にも、番組は、穏やかに、和やかに、明るく前向きなトーンで進行していきました。一つには、松本アナウンサーの明朗なキャラがよかったことがあげられます。それとやはり、出演者達が、基本的に、自己実現が一応メドのついた人達ばかりで、自己アピールの必要がないということ。自分の業績の為ではなく、子供達の為に、日本の教育行政をどうかして良い方向へ持っていきたい、という信念と方法論を持っている人達が、知的に冷静に持論を展開していく様は、見ていて気持ちよかったです。

おもしろかったのは、「全国学力テスト」に唯一参加していない自治体である愛知県犬山市の小学校の授業風景が紹介された後の各人のコメントでした。

競争させることで学力を上げている他県の例の紹介の後、教室で、生徒同士が教え合う事で、全員の学力を上げている犬山の例に対して、牧野さんはもちろんのこと、茂木、金子、本田の全員が「人に教えることが一番の学び。現代に一番必要なコミュニケーション能力も養われる」と、声をそろえて大絶賛。これには、司会の松本さんが驚き、「できる生徒から不満はでませんか?」「でません!」
いいぞ犬山!がんばれ犬山!他の自治体もどんどん犬山の真似をしよう!


他にも、お母さん達が学校の図書室の司書のボランティアをし、教室で読み聞かせをしたりして、図書室が生き返って子供も本好きになった例とか(まあ、フィンランドみたい!)様々な成功例(成功例というのは、子供達の顔がいきいきとするようになった例)が紹介されて、とても気持ちのいい番組でした。


牧野さんも、まるで好好爺のような穏やかなキャラを演じ通し、スタジオの茂木健も、牧野さんの発言によくうなづいていました。司会者は、もう少し牧野さんとスタジオで「バトル」を期待していたのかもしれませんが、子供の為には何がいいのか、という点では、方法論は違っても、基本理念は出演者達に通底するものがあったようで、あのような和やかな進行になったのでしょう。

で、その基本理念とは?
日本国内だけで通用する大学入試の為の「学力」なんて、競ってつけたってしょうがないよ。入試用の学力なんて、正解がわかっている問題がとけるようになるだけで、実社会では通用しないよ。学校で学ぶべき事は、まず、人との関わり。コミュニケーション能力。そして、自分で問題を発見し解決方法をみつけようとすること。


司会の松本さんが、一般の保護者の代弁者として、まとめていました。
とは言っても、実際、入試がある以上は、それで良い点が取れないと困りますよねぇ。


じゃあ、どうしたら、いいんでしょうか。
正解などありません。一緒に考えていきましょう。