仲間割れしてる場合じゃないよ

veatrice2009-12-28

偶然、ホメオパシーの本を読む機会があり、日本にはその「流派」が二つあり、どうも、お互い仲が悪いということも知った。

どうして、いい事やってるのに「流派」とか「セクト」とか、つくっちゃうのかなぁ。昭和時代の学生運動も終末期はそれで自滅してっちゃったし原水爆反対運動も共産党系と旧社会党系とどっちがどっちかよくわかんないし。

乱暴にまとめちゃうと、そもそもみんな「よりよい社会にして人々をより幸せにする」という本来の使命があったはずなのに、内輪もめや、足のひっばり合いに余計な時間とエネルギー使ってたら、もったいないじゃん。そんなことしてて、一体、誰が得するの?

内輪もめしてくれてた方が、得する人もいるよね。運動がめざす「理想の社会」の実現が自分の利益に反するとみなす人たち。集合無意識なのか、実体のある個人か集団かは知らないけど、利益を下々の人々に分配したくない既得権を独占したい「存在」。だから「大衆運動」が軌道にのりかけると、中から外から策をこらし「内輪もめ」させて「仲間割れ」させて弱体化し一致団結した運動ができないようにする。伝統的なDivide and Conquer作戦。


そんなことを思ったのも、最近の「カツマー」対「カヤマー」の対立構造の不自然な煽り方がきっかけ。

ついに香山リカさんの「しがみつかない生き方」は、新書売上げ年間ベスト1になったそうな。だけど<勝間和代をめざさない>というあの扇情的コピーがなかったら、あの本、そこまで売れたかなぁ。幻冬舎の煽り方はエスカレートし、12月に勝間氏の「やればできる」が出版されると、今度は増刷した新書の帯に「やればできるって本当ですか?」というコピー。

そして今週は「週間新潮」と「週間文春」の新春号に「勝間たたき」の記事が仲良く掲載。いずれも彼女の仕事の内容に対してではなく、下劣な私的な悪口だけど。

ここで私は、ふと思った。勝間さんは「元外資系バンカー・経営コンサル」という肩書きから一見「資本主義の権化」みたく思われるけど、実は大衆の味方。新聞も雑誌も「毎日」と「朝日」に連載持ってるし、佐藤優氏からは「勝間はマルクスと同様に若者に『熟練工』になれと主張していて、決して新自由主義者ではない」と言われてるし。香山さんが「護憲派・アンチ愛国主義」なのはもう有名だし。二人とも思想的には「左派」の陣営に分類される。

そして、カツマーもカヤマーも読者層は20代30代のほぼ同じ人々。違いは、勝間はアッパー系で香山はダウナー系。同じ読者がイケイケの気分の時は勝間を読み、ちょっと疲れて一服したい時には香山を読んで癒される。

同じ人が、両方読んで、疲れた時には一服しながらも、前向きにがんばって、着実にスキルを身に着けていったら「自分で考えて判断して行動できる」民主的な市民ができてしまう。

これはまずい!不当に安い賃金にも黙って働いて稼いだ金をすべて不必要な消費財に費やしてくれる愚かな消費者養成計画が狂ってしまう!!と、支配者層の誰かさんは、気がついたんだな。

そこでおじさん達、古典的なDivide and conquer作戦に出た。女は女に叩かせろ。勝間も香山も一緒につぶせ。

もし私が20代のカツマーだったら。仕事で疲れてなかなか勉強がはかどらない時に「精神科医」から<がんばっても無理なものは無理よ>と言われ「信仰心」が揺らいだところに、お正月に帰省すると、新潮、文春を読みかじった父親に「この勝間っていう女は離婚されて当然だ。これを読んでみろ。お前も、ばかなまねはするなよ。」とか言われて決定打。「やっぱ私は勝間さんとは違うし」ってことにして「現状を受け入れることが幸せなのよ」とか言って、こたつでミカンを剥くのでした。そしてまた、年明けから黙々と働くのでした。
20代のヤワな私だったら、きっとそうしていたでしょう。

しかし、賢い女性のみなさん!「私はカヤマー。もうカツマーはやめたの」などと、分裂作戦にのっかっちゃだめよ。どこかの「セクト」に属する必要はないのです。あなたはあなた。「アナター」なのです。「ハトヤマー」だろうと「カツマー」だろうと誰でもいいから、先人や先輩達から良いとこだけをセレクトして、まねして、自分のオリジナルブレンドに作り上げて、時と場合によって使い分けて、勝間さんがいうような「断る力を持つ代替不可能な熟練工」になっていきましょう。


そうして、ホメオパシーをおやりのみなさん。「クラシコ」だの「トラコ」だのって、内輪もめしてる場合じゃありません。共通の敵は「巨大新薬製薬会社」ではありませんか。そもそも不必要な新薬の開発に莫大な資金と人材を無駄使いし、その販売利益のために病気不安を煽り、薬漬け文化をつくってきた日本の医療風土を根本から改革することこそが、ホメオパシーの使命ではないですか。

みんな、仲直りして、本来の仕事をしようよ。
「たわけ」になっとっていかん。