勝間和代と監査と分析

veatrice2010-03-12

3月も半ばというのに私の心身はオフ状態のなべ底をはいずっている。風邪なのか花粉症なのか正体不明の鼻喉あたりの炎症で、どうも頭が働かない。まあ休める時に休んでおこう。というわけで、今夜は久しぶりに家にいてテレビを観た。「金スマ 勝間和代特集。」だってほら、私、中年のくせして「カツマー」だし。

私が勝間さんの本を初めて手にしたのが2007年の秋頃だったか。この2年余りの「現象」ぶりは凄かったなぁ。とうとう「紅白歌合戦」の審査員になって、おまけに「金スマ」で「再現ドラマ」にまでなって。80年代の林真理子ブームを思い出すなぁ。

「ルンルンを買っておうちに帰ろう」は本当におもしろかった。モテない女の自虐的本音暴露エッセイは、今でこそ珍しくないが、80年代当時は斬新だった。その後、小説で直木賞を取り、紅白の審査員をやり、ダイエット変身、ヌード写真撮影、見合い結婚、高齢出産、オヤジ週刊誌の連載、と欲しいものを全て手に入れていった林真理子は「やればできる」の大先輩だ。しかし残念な事に、本人が成功していったのと反比例するように、発表される作品はつまらなくなり信奉者は減っていった。

今や連載エッセイは有名人との交遊自慢話。時事ネタのコメントもありきたりで鈍い。本業の小説も取材が甘いのかリアリティに欠ける。25年も第一線で活躍しているのは見事だが、満たされてしまってから創作活動を続けるのがいかに難しいか、という事を証明している。

さて、勝間和代。この先どうする?ブームは去ってただの過去の人になっていくか?
確かにマスコミの仕掛けた「現象」はピークを越えただろうが、一過性ブームが去った後も「カツマー」的なものは、カルチャーに変容して定着していってくれることを期待したい。

林真理子との大きな違いは
1.創作の小説と違って「ネタ切れ」の心配がないこと。
2.支持者が男性にも多いこと。
3.「成功」のベクトルが「自己実現」ではなく「理想社会」に向いていること。
4.20年分の人類の進歩が味方してくれる(はずである)こと。
5.単独ではなくチームで活動していること。


この最後の項目「チーム」という強みを、今日のテレビ番組で発見した。
勝間さんの会社は「株式会社 監査と分析」という。これ、会社の名前ですよ。変でしょ。こんな変な名前をつけることを了承(あるいは提案)した人々は、センスがいい、っていうか「変人」に決まってる。共同パートナーの上念(じょうねん)司さん。テレビにもちょろちょろ出てきて自著をアピールしていたけれど、それが全然嫌味じゃなくてとても朗らかな人だった。そしてもう1人の名前は忘れてしまったけれど東大卒の弁護士資格を持つ人。外見が佐藤優系で「相手を油断させる風貌」(by安住アナ)という「武器」を持つ秀才。こういうフツーじゃない男性二人と「ドリカム編成」している勝間さんは、非常に強いと思う。

そしてもう1人、広瀬香美さん。万一勝間さんが迷走したら、ビジネス畑とは違った感性で軌道修正していってくれそう。実際、年末から日本にtwitter旋風を巻き起こしたのはこの二人だし、私もつられてtwitterを始めてから初めて広瀬香美さんの魅力を知ったのだけど、彼女の書き込みを読んで、勝間和代の秘密兵器を知ったというわけ。

つきあっている周りの人間をみればその人間がわかるもの。上記の3人に見放されない限り勝間和代は大丈夫だろうと思う。

社畜ではなく、1人の独立した尊敬される職業人として、個人の才能を十全に発揮できる仕事をし評価され、相当の報酬を得て、そして、収入の余剰は次世代の恵まれない子供達の将来に投資する、という「インディ」が日本に1人でも多く増えるように勝間和代はこれからもさらに効率を上げて仕事をしていくだろうし、続けていってもらいたいと願う。